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夜の世界がオレたちの生きる世界と思われがちだが、昼にもいろいろと仕事はある。
日頃から親父(組長)に「堅気さんには迷惑かけんな。オレたちゃ、存在するだけで迷惑なんだから」と耳にタコができるほど言われているので、“みかじめ”回収に行く時には、店に迷惑にならないよう客が引いた昼過ぎから夕方の時間を狙って行く(なんて空気の読める893なんだろう)。
そうして、この時に聞く困り事や面倒事解決(まぁ基本、暴力沙汰の厄介事だが)をしてやって、恩を着せることもしばしば。
そのほか、最近イキがったガキたちが起こす揉め事をおさめるのも仕事になってきた。見回り時にはそんなガキどもを見つけては、教育的指導を片手間に行っている。
そんなこんなでオレが所属する山本組は堅気の人にとって、少しは役立つガラの悪い街の自警団のような存在と言えなくもない微妙な感じなのだ。
一応893だから気安く話しかけられることはないが(佐藤除く)、うちの組のトレードマークである黒スーツを見ても無意味に怯えられたり忌避されることもないことからも、若干それが伺えるのではないだろうか。
これもひとえに親父が古き良き任侠道を護り通しているからなんだろう。
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