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「私の部屋、隣」
「そっか。‥‥じゃあ、壁叩いたら分かるかな?」
「多分、分かるかも。ってなんで?」
「俺、兄弟居ないからさ。
周りの奴とか兄弟でそうやってコンタクトとるんだって聞いた時
羨ましかったんだよね」
「あ~、私も居ないから分かる気がするなぁ~。
‥‥うん、面白そっ♪
寝る前に合図しよっか?」
「うわぁ~。
変にドキドキする」
「私も~!
なんか‥修学旅行的な感覚?」
「ふっははは。それそれ!」
ひとしきり談笑して満足したのか彼女は欠伸をしながら
「んじゃ‥‥寝ようかなぁ?
おやすみ~」
と言って自室に帰って行った。
本当に今日は色々あり過ぎて、心地良いくらいの疲労感。
消灯し布団に入ると、日だまりや柔軟剤の良い香りに包まれる。
嬉しくて思いっ切り吸い込んだ。
爺さんの事も心配だけど
今はかの『棚ボタ生活』を
楽しもう。
そう思っていた時壁を小さく叩く音がした。
───四回
『おやすみ』
‥‥かな?
俺も音がした壁を
四回叩いた。
‥‥嬉しい
僕は幸せな気分の中
瞼を閉じた。
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