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次の日、朝早く起きた俺は朝食の準備をするオバさんを手伝いキッチンに立つ。
「シン君、いいのよ?
テレビでも観てたら?」
「家でも飯作るの俺だったんで。
こんな事で喜んで貰えるなら、いくらでも手伝います」
「‥‥シン君は、いつからお爺さんと二人で?」
「‥‥もう、物心付いた時には
両親は死んでいなかったんで‥‥」
ハッとした顔をして申し訳なさそうに言ってきた。
「ごめんね?‥‥なんだか」
「いいんです!
‥‥ってか、台所にオバさんと立ってると
母親が生きてたら、こんな感じなのかなぁ?なんて‥‥」
ポリポリ顔を掻きながら、皿をテーブルに並べた。
「‥‥いいのよ?もお、どうせなら『お母さん』って呼んじゃって」
「あっははは。本当に感謝します!
‥‥アイツ、遅いですねぇ?」
「そーなのよ。毎朝ギリギリで‥‥。
シン君、起こして来てくれる?」
「はっ!?いやいや‥‥やっぱ、それは、その‥‥本人が嫌がる‥‥と、思うんで」
両手を振り、首を横に振り
真っ赤になりながらやんわり申し出を断った。
「そうかしら?
‥‥じゃあ、起こして来るわね?
本当に、女の子なんだから朝食作りくらい手伝えばいいのにぃ。
シン君の垢を煎じて飲ませたいわ‥‥」
ブツブツ言いながら階段を上がって行った。
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