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お婆さんは町内のゲートボール大会に朝早く出掛けて居ない。
テーブルに箸を並べて、朝食の準備を黙々とした。
「もぉー、お休みなんだからぁ
もう少しゆっくり寝かせてくれても‥‥」
「何言ってんの!?
シン君を見習いなさい」
「はい、はい」
そんな会話をしながらダイニングに二人が入って来た。
「おはよ」
「‥‥はよ」
照れ臭そうに寝起きの顔で挨拶。
椅子に座り朝食を食べながらオバさんが話し掛けてきた。
「今日仕事で日中居ないんだけど、お爺さんの荷物を仕事前に寄って持って行こうと思ってるの。
どうかしら?」
「助かります!
今日、週刊が入るんで店番しなきゃなんないんで‥‥
お願いしても良いですか?」
「えぇ、勿論よ。
多分心配なさってると思うから
家にいる事も伝えるわ。
それと‥まだ必要な物が無いか聞いておくわね?」
「‥‥すみません。
なんか、オバさんに甘えてばかり‥‥」
「だから、お母さんって呼んでいいって」
「ッブゥ─────────!!!」
「っやだ!この子ったら、何吹き出すのよ~」
思いっ切りお茶を吹き出した彼女。
オバさんはタオルで、濡れた場所を素早く拭く。
「おか‥おか‥‥お母さん?
何、言ってんの!?」
「なぁに焦ってるのよ‥‥。
さっきお母さんからそうお願いしたのよ?」
「‥‥‥‥‥」
口を開けたままフリーズする彼女に、俺は事の流れを説明すると納得してくれた。
「最初っから、そう言ってくれれば
私だって誤解しなかったのに‥‥」
「なによ、誤解って?」
「っなんでもない!」
茹でタコになりながら、誤魔化すようにご飯を食べ始めた彼女。
俺は二人のやり取りを眺めながら笑っていた。
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