心─1

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───‥‥一年前 「かったりー!!」 「シン!男の子じゃろ!?根性見せぇ」 「ぅぅ~‥‥」 俺は松田心。 この町の冴えない小さな本屋の孫。 只今、爺さんに出版社から届いた雑誌を陳列している。 「あぁ‥‥、爺にはキツいのぉ。 シン!後は任せた!」 「っはぁ~!?ジジィ!!待てよ」 後ろを振り向いた時には、既にヒラヒラ振られた手しか見えなかった。 「ハァ~」 深い溜め息を付きながら、取り敢えず目の前の仕事をこなしていった。 俺には両親が居ない。 事故で二人とも逝ってしまった。 親が居ない事を悲劇に思った事も無い。 だって、物心付いた時からもう居なかったし‥‥。 新刊の入ったダンボールを開けると、真新しい紙とインクの香りが鼻を掠めた。 思わず瞼を閉じ、思いっ切り吸ってみる。 俺はこの香りが大好きだ。 今の時代は電子書籍なんて言ってる奴もいるけど‥‥ 機械相手じゃ、情報は一緒でもこの独特な香りまで楽しめねーだろ? ,
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