2045/05/15 北方ダンジョン第ゼロ層無制限解放フィールドにて

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 ――ああ。  その時の気持ちをどう表現したら良いのだろう。  『この人』に指差された胸に根付いた熱を、なんと呼べばよいのだろう。  頬を、なにかが流れ落ちていた。  世界が滲んで見えた。  喉が引きつる。  嗚咽が漏れ出す。  胸が熱い。  心臓が痛い。  胸元を握りしめて、身体が折れる。  偽物の身体の奥底の、けれど確かにそこにあるものが、ありもしない血液に流れて、手足の隅々まで全身を巡っていく。  全てが、変わっていく。  なにもかも変わらないはずの世界が、もう二度と戻らないほどに、変わっていく。  私の夜を、あの黄金色の光が消していく。  きっと。  光が満ちたあとには。  とても綺麗な朝焼けが世界を照らすのだろう。  ああ――。  それは、なんて、美しい――。  私はその日、ここに来て初めて涙を流した。
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