3.告白

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"あの日"、彼女が住み慣れた屋敷を離れる前夜。 両親を埋葬した時も気丈に振る舞っていた彼女が、庭にある小さな温室で独り泣いていた。 周囲の人間に気づかれぬよう、声を殺している姿がいじらしくて、どうしても目を離すことが出来なかった。 その時から、自分は彼女を一人の女性として意識し始めたのかも知れない― 春の王都が宵闇に包まれ始める頃、ラヴェンダーの部屋のドアがノックされた。 「ウィルセイ様…!」 扉の前にいたのは花束を持ったウィルセイだった。彼女の胸は思わず高鳴る。 「急に訪ねて申し訳ない。大丈夫だったかな?」 遠慮がちにたたずむ彼をラヴェンダーは部屋の中に招き入れた。 「大丈夫です。どうぞ中へ」 花束を預かり花瓶に活けながら彼女は口を開いた。 「素敵…ありがとうございます」 目線を上げお礼を言うと、ウィルセイはほっとしたように微笑んだ。 「喜んでもらえて良かった。しばらく来られなかったけど変わりはないか?」 「はい、独りでもなんとかやっていけるようになりました。そういえば…今日はブラッドリー様とご一緒ではないんですね。お二人ともお忙しいんでしょう?」 「ブラッドリーも元気だ。ただお互い多忙で予定が合わなくてね。私も明日から3週間地方へ出かけるから、この後屋敷に戻るよ」 「まあ…そんなお忙しい中来ていただんですね。せめて紅茶でもお入れしますから…」
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