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「俺はずっと、ウィルセイと対等な立場になりたかった」
ラヴェンダーの心を奪った彼を、羨んだ。
二人幸せになろうとする姿を妬んだ。
羨望と嫉妬の裏側にあった、本当の感情は―
「でもあいつと訣別した夜、心に誓ったんだ。今度会うときは、あいつと真っ向勝負がしたい、と」
リリーの言葉で、ようやく自分の感情を認めることが出来た。
ずっと追いかけ続けた背中。
いつかウィルセイと剣を交え、必ず彼に勝ちたい。
そのために、この道を選んだのだと。
「だから俺は引き返さない。自分が選んだ道を進む」
ブラッドリーの言葉には、迷いがなかった。
「ウィルセイに認めてもらうんじゃなくて、真正面から勝負を挑むつもりなのね」
(潔いじゃない)
素直にそう思った。
だからこそ、余計に引っ掛かる事がある。
「でも一つだけ・・・貴方の言う真っ向勝負に、あの人間離れした連中は含まれてる!?」
ブラッドリーの表情を見て、リリーは申し訳なさそうな顔になった。
「ごめんなさい。変な事言って。でも私が貴方だったら、不必要な横槍が入るのが嫌な気がしたから・・・」
リリーが何の気なしに口にしたその言葉は、ブラッドリーの心を、大きく揺さぶっていた―
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