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ディアマンテ王宮内の自らの執務室で、ジョン卿はマイカ王国護国卿と密かに会談していた。
二人は会うやいなやがっちりと握手を交わす。
「ジョン卿・・・いや、もうディアマンテ国王とお呼びすべきですかな」
ジョン卿は愛想のよい声色で応える。
「お呼び立てして申し訳ありません」
「して、実験の首尾はいかがですか?」
マイカ王国護国卿の言葉は、あの夜、ジョン卿が追手として差し向けた"実験材料"達のことを指していた。
「持続性の問題が解決出来れば、汎用が可能な段階までは来ております」
マイカ王国護国卿は機嫌の良さそうな笑顔を見せる。
「それは良かった。貴国の薬物生成技術と我々の財力が組み合わされば、無敵の軍勢を生み出すことも夢ではないな」
「完成の暁には貴国と国交を結び、領土拡大にご協力するお約束ですから。・・・その代わりと言ってはなんですが、一つお力を貸していただきたい件がございます」
「前国王のことですかな?噂では失踪されたとか」
「お恥ずかしながら、未だ行方を掴めておりませんが、おそらくは北の要塞都市に逃げ込むかと。確証が取れ次第、またご連絡いたしますので、その時はどうぞよろしくお願いします」
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