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だが一方で、彼らを受け入れなければ、この国の民全員が、事実を知らぬまま侵略戦争に手を貸すことになる。
そしていつか、侵略と殺戮の報いを受けることになるだろう。
自分達を頼ってくれたリチャードと、見ず知らずの護国卿、どちらかを選ぶとすれば―
「いいだろう」
ガウェインは微笑んだ。
(頼りにされて、嬉しくない奴なんて・・・いねえんだよ)
「あんたが王になってから、ここの雰囲気は確実に良くなってたからな。それに、コンキスタの民を護るのが、俺らの仕事だ」
リチャードはホッとしたような笑みを浮かべる。
「ありがとう」
「まずはここを拠点にして、味方を増やしていく必要があるんだろうが…」
(そう言えばあそこは…)
ガウェインは元・近衛隊長がいると聞いた闘技場の名を思い出し、付け加えた。
「ちいっとばかし難儀するかも知れないぜ」
「どういうことだ!?」
ボースの質問に対し、ガウェインは答える。
「元・近衛隊長さんが今いる闘技場は、8年前にリーダーが代わってから今まで戦士を一度も護民軍に放出したことがねえ。俺も視察にいったが門前払いされた。引き抜きたい人材がいるにも関わらずだ」
ガウェインの表情は、かなり厳しいものだった。
「ボース、お前も名前ぐらい知っているだろう。あそこのリーダーは、かつて護民軍史上最強の兵士長と謳われた男、エドマンドだ」
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