25.希望

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ひとしきり笑いあった後、ラヴェンダーはさりげなく切り出した。 「お話って、結婚のことですか?」 「聞いていたのか?」 思わず聞き返したウィルセイに対して、ラヴェンダーはこくん、と頷く。 「ええ、レティシア様から」 「私はリチャード様からだ」 街灯りに視線を向け、ウィルセイは続けた。 「言われてから色々考えた。自分の意思で決めるべきことだから」 自分の心に訊いてわかったことは― 本当に結婚の許しを得たかったのは、この場にいないただ一人だということ。 "悔いのないよう、自分で決めろ" (ブラッドリー…) 今は遥か遠い空の下にいる、親しい友。 いつか戦う日が来た時、彼の意思を受け止められるように。 何度諦めようとしても、諦めきれなかった彼女への想いに、自分なりのけじめをつけたいと思った。 「ラヴェンダー…私と結婚してくれないか」 ウィルセイと結婚して、二人で家庭を築く。 一度は諦めた夢が、叶おうとしている今、ラヴェンダーの脳裏には何故かブラッドリーの姿が浮かんだ。 (ブラッドリー様…) 大切な友人を傷つけてしまっても。 何度ウィルセイと引き離されても。 この想いは捨てきれなかった。 「・・・はい」 二人の手で、未来をつかみとる。今度こそ。 ウィルセイは背後からラヴェンダーを抱き締める。ラヴェンダーは自分を抱く彼の腕にそっと手を添えた。 "愛してる" 何度言葉にしても足りない。 伝えきれない想いで胸がいっぱいになる。 二人はしばらく無言のまま、寄り添って街の灯りを見つめていた―
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