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"例えどんなに辛い結末になったとしても、絶対に這い上がってこい。俺はその日をずっと待ってるからな"
あの夜交わした、親友としての最後の約束。
アメジスト家の一室で、ブラッドリーは何かをしたためている。
(ウィルセイ…もしかしたら俺は約束を守れないかも知れない)
それでも、もう後には引けない。引くつもりもない。
書き上げたそれを懐に入れ、決然とした表情で前を向く。
そして彼は屋敷を後にした。
―その日、遂にジョン王は兵を率い、コンキスタへ向けて進軍を開始した。
もちろんブラッドリー、リアム、人質としてリリーも同行している。
彼らは表向き反乱を未然に防ぐことを名目として出兵しているが、その実、リチャード達の抹殺もやむなしという考えでマイカ王国と共同戦線を張るつもりだ。
一方、護民軍の情報網を通じてコンキスタにもジョン王進軍の知らせが届いた。
リチャード指揮の下、戦の準備や実戦を想定した戦術訓練にますます力を入れる一方で、彼らは着々とウィルセイとラヴェンダーの挙式の用意も進めていた。
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