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そして2週間後―
ウィルセイはコンキスタ市街にある小さな教会の控え室で身支度を整えていた。
(これを着るのも久しぶりだな)
ずっと共同宿舎の衣装棚にしまいこんでいた式典用の白い礼服に袖を通す。
"共に祝うことで皆の士気も高まる。ぜひ式と祝宴を行おう"
最初は婚姻の承認だけもらうつもりでいたが、リチャードにそう説得された。
忙しいにも関わらず、皆が準備を手伝ってくれたおかげで、今日を迎える事が出来たのだ。
礼服の襟を留め、髪の毛をしっかり撫でつけたウィルセイに、身支度を手伝いに来たポールが白の手袋を差し出す。
「ウィルさん…どうぞ」
手袋を受け取ったウィルセイは、ポールの笑顔がどことなく寂しそうなことに気づいた。
「ポール、今日まで色々世話になったな。・・・本当にありがとう」
今夜から、ウィルセイはルゴス城の一室で、ラヴェンダーと共に暮らすことになる。
共同宿舎でただの戦士として過ごした日々。
かたわらにはいつも、ひたむきに努力する彼の姿があった。
「短い時間でしたけど、ウィルさんと過ごせて、光栄でした」
ウィルセイは笑顔でポールの髪の毛をくしゃっと撫でた。
「今生の別れじゃあるまいし、湿っぽい言葉はやめようか」
ポールもまた明るい笑顔を見せる。
「・・・そうですね。さあ、時間です。行きましょう」
礼拝堂の中には、既に元近衛隊員、戦士達を中心に盛装した参列者が揃っていた。
中央の祭壇では、式を司るリチャードが二人の到着を待っている。
天窓から射し込む淡い光の中、ポールに先導され祭壇まで進むウィルセイの姿を見て、エドは微笑んだ。
(いい表情してるな)
彼なりに覚悟を決めたのだろう。
一切迷いがない、清々しい表情だった。
愛する者と絆を結び、共に生き抜く意思を彼が持ったのなら、これほど喜ばしいことはない。
二人が紡ぐ未来がどうか明るいものであるようにと、エドは心から祈った。
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