37人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
大広間の中央に集まった者達がステップを踏みだした。
「今日の主役はお前だ、ウィル。行ってこい!!」
エドに思いきり背中を叩かれ、踊りの輪に加わったウィルセイをポールが出迎えた。
「ウィルさん、踊れますか?」
ウィルセイは笑った。
以前一度戦士達のステップを見ていたし、酒もそこまで飲んではいない。
「もちろんだ!!」
複雑なステップを難なく踊りきったウィルセイの姿をラヴェンダーとボースは見つめていた。
「あんな隊長の笑顔、初めて見ましたよ」
「ええ。とっても楽しそう」
リチャードとレティシアは、楽しそうに手拍子に参加している。
エドとガウェインは酒を飲みながら、踊りの輪を眺めていた。
弦楽器が加わり、メロディーは速度を増していく。
ジョーはリズの手を(どさくさに紛れて)握り、踊りの輪の中心に進み出た。
周りにいる者達が盛んに口笛を鳴らし、二人をはやし立てる。
ジョーは単独で、素早くステップを踏み、リズも負けじとジョーを上回る速度で華麗な足さばきをみせる。
ポールと共にジョーとリズの踊りを楽しんでいたウィルセイは、ボースが自分の許までラヴェンダーを連れてきたことに気づいた。
「隊長、奥方様とダンスはどうっすか?」
ボースはにやにやしながらウィルセイを促す。
隣にいたポールをちらりと見ると、彼はにこっと笑い、ウィルセイの背中を押した。
「ウィルさん、行ってきてください!!」
ウィルセイはラヴェンダーの手を握った。
「ラヴェンダー、行こう」
「ウィルセイ!?ちょっと待って…」
「ちゅうもぉーく!!今日の主役が登場するぞー!!」
ボースが大声で叫ぶと、元・近衛隊員達が応えた。
「ウィルセイたいちょー!!」
「あ、隊長の、ちょっといいとこ見てみたい!!」
戦士達も負けじと声を上げた。
「いいぞー!!美男美女カップル!!」
「ジョーなんて蹴散らしたれー!!」
護民軍のメンバーからも声が上がる。
「綺麗な奥さんうらやましいぞぉ~!!」
「この幸せ者っ!」
最初のコメントを投稿しよう!