37人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
「アメジスト家の庇護の下、ぬくぬくと育ってきたあんたが、偉そうに正義を語るな」
容赦ない殴打と蹴りの連続。
やがてブラッドリーが血まみれになって倒れてもなお、リアムは攻撃の手を緩めない。
(壊してやるよ)
圧倒的な暴力で、二度とその忌々しい瞳が開かないように―
「リアム…もうやめておけ。殺してしまっては、面白くない」
朦朧とした意識の中で、ブラッドリーはどうにか視線を上げる。
リアムを制したのはジョン王だった。
「例え成分がわかっても、この薬はそう簡単に精製出来ない。お前が何をしようとも、我々が有利である事に変わりはない」
ジョン王は、リアムに薬の入った瓶を渡した。
「・・・とはいえ、裏切りの代償は払ってもらうぞ」
リアムは冷たく笑い、もはや抵抗することも出来ないブラッドリーの頬を片手で掴み、口を開かせる。
そして、薬を流し込み、無理矢理飲み込ませた。
(ウィルセイ…)
次に会う時には、対等な立場で。
全力で戦いたかった―
「さらばだ、ブラッドリー・アメジスト」
ジョン王の声が、遠くから聞こえて。
ブラッドリーの意識は、昏い闇へと飲み込まれていった。
最初のコメントを投稿しよう!