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いつか二人で作ろうと誓った。
身分も格差もない、二人同じ景色が見られる世界を。
同じ未来の夢を描いた幼い日から。
なんて遠くまで来てしまったのだろう―
降り積もった雪が陽の光を浴び、銀色に輝くリヒテン平野で、両軍は対峙した。
ジョン王陣が黒系統一色で占められている一方、リチャード陣では紺色と濃緑色が混じりあっている。
いずれも前線に歩兵隊、後方に弓兵隊、陣の中央奥に指揮官を置くオーソドックスな陣形をとっていた。
ジョン王陣では歩兵隊が盾を構え、前進し始める。
馬上からジョン王陣の様子を窺い、リチャードは濃緑色の生地に白い糸で水晶花の意匠があしらわれた軍旗で、歩兵隊、弓兵隊に戦闘用意の合図を出した。
限られた戦力で、与えるダメージは最大を狙う。
そのためにも、まずジョン王陣の最前線がこちらの射程距離に踏み込むまで我慢が必要だ。
弓兵達は矢に火をつけ、弓を構えた。
「待て!!」
逸る兵士達の空気を察して、リリーは咄嗟に声をかける。
「まだ待て!!」
リリーの指示が届きにくい右翼側の兵士には、ガウェインが声をかける。
きりきりと、弓が引き絞られる。
敵の兵士達が射程圏内に、足を踏み入れた。
(・・・来た!!)
左翼のリリーと右翼のガウェインは声を揃えて叫んだ。
「射て!!」
無数の火矢が、敵陣の両端の兵士達に向けて何度も放たれた。
「死んでも隊列を崩すな!!」
黒色の生地に鷹の意匠をあしらった軍旗を高々と掲げ、ジョン王は厳しく兵士達を叱責した。
リチャードの狙いは、左右の端の兵士達に集中して狙いを定めることで恐怖を植え付け、陣形を乱すことだろう。
(ならば、こちらは正面から潰す!!)
「弓兵隊、構え!!」
リチャード陣の3倍はいる弓兵達が一斉に火矢を構えた。
「射て!!」
「総員、密集隊形をとれ!!」
右翼はボース、中央はウィルセイ、左翼はエドを中心に歩兵達が集まり、隙間を作らぬよう盾を構えた。
―弓兵隊が好機を作ってくれるまで、歩兵隊は耐え抜く。
被害を最少に抑えるために、リチャードが選んだ作戦だった。
雨のように降り注ぐ火矢を盾でしのぎながら、彼らは少しずつ前進していく。
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