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踊れ。
愚かで純粋な若者達よ。
踊れ。
微笑みの陰に牙を隠した者達よ。
今宵、踊れ。
この掌の上で―
王宮に来て初めて衣替えの季節がやって来た。
レティシア王妃、リリー姫、ラヴェンダーの3人はこの日、夏用のドレスを仕立ててもらっていた。
一週間後に側室のお目見えを兼ねた晩餐会がディアマンテ王宮で開催されるからだ。
「姉上、ラヴェンダー、試着出来た!?」
衝立の陰からリリー姫の声が響く。
「ええ」
「私もなんとか」
「じゃあ、せーので出ましょ。せーの!!」
リリー姫の合図をきっかけに、各々の衝立から3人が出てきた。
レティシア王妃は髪の色が映える淡い水色のドレス。
リリー姫は瞳の色に合わせたエメラルドグリーンのドレス。
そしてラヴェンダーは明るい印象を残すサーモンピンクのドレスをそれぞれ着用している。
顔を見合わせた3人は、一様に笑顔になった。
「みんな楽しそうだね」
「兄上じゃない。あと一歩早かったらただのノゾキになってたわよ」
「リリー・・・」
苦笑したリチャード王は、3人の姿を確認し、褒める。
「3人ともよく似合っているよ」
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