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一方、王宮敷地内にある行政府では宰相であるブラッドリー以下選ばれし官僚達が粛々と業務を進めていた。
行政府はディアマンテ王国内全ての行政機関、司法機関の中枢であり、管理する項目は国民の暮らしを支える仕事から、裁判、立法と幅広い。
当然、行政府のトップである宰相には幅広い知識と部下の指導力が求められる。
元々平民だったブラッドリーを宰相として登用することを反対する声もあったが、リチャード王は能力重視の姿勢を崩さず、ブラッドリーもまた卓越した業務執行能力をもって反論の声をねじ伏せてきたのだった。
「ブラッドリー様」
ブラッドリーのデスクの前に来たのは行政府のナンバー2、宰相補佐官のリアムだった。
「どうしたリアム」
「護国卿から伝令です。至急執務室まで来て欲しいと」
「わかった、すぐに行く。しばらく頼むぞ」
回廊を渡りブラッドリーが向かったのは王宮内にある護国卿の執務室だった。
扉をノックして中へ入り、ブラッドリーは頭を垂れた。
「失礼します」
「ブラッドリーか。入ってくれ」
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