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─眩い光の中で、ウィルセイは独り立ち尽くしていた。
彼は遠くに見覚えのある顔を見つける。
(・・・エドさん?)
出会った頃よりも若く見える彼は、小さな子を抱き上げ、妻と共に幸せそうに笑っていた。
(良かった、やっと会えたんですね)
きっとあの光の向こうでは、会いたいと願う人に会えるのだ。
たとえ都合の良い幻だったとしても。
「ウィルセイ」
聞き覚えのある声。
振り向くと、そこにはブラッドリーがいる。
不思議な事に、二人とも青年時代の姿だった。
「どうして・・・」
あの頃と全く変わらない、気さくな口調で彼は言う。
「今度は、俺が迎えに来る番だったからな」
ウィルセイはずっと聞きたかった問いを投げかける。
「私はきちんと命を全う出来ただろうか?お前の願いを少しでも叶えることが出来ただろうか?」
ブラッドリーはにこやかに笑った。
「ああ、もう十分だ。あとは子供達に託して、向こうで美味い酒でも飲もう」
ウィルセイはホッとしたような笑みを浮かべる。
「それを聞いて安心したよ」
「それじゃ、そろそろ行くか」
「そうだな」
「ウィルセイ」
「ん?」
「・・・お疲れさん!」
大声で笑いあった二人は肩を組み、歩いていった。
眩い光の向こう側へと─
【完】
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