一章

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「はにゃー? ここはどこなにょ? どこなにょな~? ど~こ~? どこに行くにょ~?」  わざとやっているとしか思えない、魔法こけしの「みんな上がれ! ふらのなだれ攻撃だ!」と言わんばかりの質問責めを華麗にスルーし、僕は黙々と歩く。  ふふん、焦っているだと……?  私は冷静だ!  頭の中は未だに混沌状態ではあったが、「行かなくちゃ! 人が絶対にこない場所に行かなくちゃ! でも傘がない!」と思考できるほどには落ち着いているのだ。  落ち着いているのだったら。  まあ「バカが、そんな見え見えの釣り野伏に釣られるものかよ」と内心で毒づきつつ、大の大人が胸ポケットからこけしの顔を覗かせているという情けない姿を自分が晒していることには全く思い至らなかったわけですがね。  ともかく小山の中にあるさびれっちまった神社に到着し、両手を打ち鳴らして「お邪魔しますよ」と忘れられた神様に挨拶。  汚れた社にこけしを鎮座させ、携帯電話を取り出す。 「なぜにケータイ? 掲示板サイトで実況するつもりにゃのかにゃ? これだから今時の若者は困るにょ」 「変に俗っぽい化け物だな……これは万が一にも人が来たときのために、通話中だと見せかけるためのマジックアイテムですから」 「バっ! ババババ、バケモノとは失敬にゃ!」 「違うなら違うと、それなりの説明をしていただきたいわけなんですが」 「にふふん、聞いて驚けニート野郎。ウチはコッコクェドゥースイナクシャータリア。風属性の妖精様だにょ!」 「は……?」
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