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「くそ……何故わらわがかような貧乏クジを引かされねばならぬのじゃ……!」
「今時、“恋を知らない、正義を愛し、勇気に満ち溢れた、純真な女の子”なんてそうそういないっスよ」
「だからといって貴様のような下衆ニートが相棒とはあまりに無体な話ではないか!」
「ならコンビ解消してくださいよ、早急に」
「背に腹は代えられんというでな……何事も陽転思考じゃ。考えようによっては貴様のような暇人に巡り合ったのは僥倖やも知れぬ」
「アンタ、本当に俗っぽいな……」
人形の姿をしている時に比べると、この状態ではいくらか精神が成熟しているらしい。
僕のツッコミにはギロリとメンチを切るだけに踏みとどまり、こけしがコホンと咳払いをする。
「幸か不幸か、貴様はおなごであるという条件以外は満たしておる。その歳で恋も知らぬという人生には触れぬことにしておくがのう」
「……性別は大事なんじゃないかなあ。まがりなりにも魔法少女なんだし」
「貴様のような下衆なら女を演じることくらいわけもなかろう。電脳世界の巫女の中身は八割がた男じゃろうが」
「待て! オタクがみんなネカマやってるなんてのは偏見っスよ!」
「まあ、それは捨て置くとして。わらわと貴様に縁が結ばれたということには、それなりの意味があろうよ」
僕のこの作り物のロリ顔を覗き込み、こけしが微笑を浮かべる。
「貴様は無自覚に、世のため人のために生きたいと願うておった。それを果たせぬ自分に苛立っておった。その想いがわらわを呼んだ」
とくん、と心臓が鳴った。
湧き上がる熱い衝動に応えるかのように。
「魂の契約じゃ。わらわとともに正義を行おうぞ」
こけしが小さな、本当に小さな右手を差し出す。
僕が躊躇いがちに右手を差し出すと、彼女はその小指をきゅっと抱きしめ、心底嬉しそうに笑った。
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