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少女がいた。
どこかで見たような気がするなと思ったのだが、それは単に髪の色が僕のパチモンヘアーと同じだからだろう。
魔法少女として正登録されて二週間。
彼女は初めて遭遇した同業者なのだが、その相手がコーボルトであったことも奇妙な既視感に関係しているのかもしれない。
もっとも、あちらさんはいかにもなステッキを片手にマジカルパウアー全開で戦ってくれちゃってるわけなんですけどね。
彼女がかわいい声で「ストーンバレットー!」とか「ロックマシンガーン!」とか叫ぶたびに、石つぶてやら岩やらがどこからともなく現れてはあの犬頭を蹂躙しちゃってる光景に、思わず「何だそりゃっ!」と僕がツッコミを入れるのは極々自然なことだと思う。
僕、デビュー戦で右手の骨にヒビ入りましたしね。
保険証がないから治療費が余裕で万単位でしたよ、ははは。
……早く再就職しないとなあ。
「オレが風の使者だけにライダーパンチやライダーチョップやライダーキックで頑張ってた時に、あの子はあんな便利ツールを使ってたんスね……」
「ふむ、四級魔法少女ヒバリか……」
妖精用のおそろしく小さな携帯電話(生意気にもタッチパネル)で気になるあの子のプロフィールをチェックし、相棒こけしが緑色の髪をかき上げる。
「先輩にはなるが、階級もセンスも貴様が上じゃぞ」
「そりゃ小学生の女の子よりは慣れてますよ……オレ、男の子ですからね」
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