四号室

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ホー…ホー… 外から聞こえる鳥の鳴き声に反応した時田は目を動かし出した。 時田はゆっくり目を開けて、確かめるように目だけで辺りを見回した。 しかし、直ぐに溜息を吐いてベッドから起き上がり、手持ちの灯火を点けて窓の外を覗いた。 「うわ…真っ暗…」 時田はそう呟いて、次は目を凝らして窓を覗いた。 外は街灯が点いておらず、少しばかり見える月明かりだけが地上を照らしていた。 「なんと不自然…」 「消灯時間が過ぎているから灯火は消した方がいい」 突然隣から声が聞こえ、時田は驚いて肩を上げた。 そっと振り向くと、ベッドに座って読書をしている柳瀬と目が合った。 「や、やぁ」 「話を聞いてるのか?消灯時間だ」 「あ、うん。わかった」 そう言って時田は灯火を消し、自分のベッドへ潜った。 「時田」 一瞬反応できなかったが、自分が呼ばれていると気付いた時田は柳瀬に向き直った。 「何?」 「大丈夫なのか?」 「え?何が…?」 段々暗闇に慣れたのか、柳瀬の表情に微妙な変化が見られたが、それでも真顔だった。
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