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松姫の部屋に行くと、忠勝と秀吉殿、そしてお市の方がいた。
鶴は松姫の隣を陣取り、福は松姫の、鍋之助は秀吉殿の膝の上にちょこんと座っていた。
お市の方の横にちょこんと座っているのが、おそらく三女の江だろう。
朝倉征伐の時はまだ乳母に抱かれていた赤子だったから覚えてないなぁ。
「あら、三郎殿。お久しゅうございます。」
「お久しゅうござる、小谷の方。相変わらずお美しい。」
「ふふ、有難うございます。奈津も元気そうですね。」
「お方さま、お久しゅうございます。」
「三郎殿、奈津。三女の江じゃ。さぁ、江。岡崎の兄様と姉様にご挨拶なさい。」
「みかわ様、なつ様。お初目にかかります。江でございます。」
小さいながらも、江は俺と奈津に挨拶してくれた。
「姫、丁重なご挨拶有難うござる。松平三郎信康じゃ。」
「姫さま、"なつ様"などとお呼びになさりまするな。私のことはどうか"奈津"と呼んで下さいまし。」
怖がらせないように、江に優しく問いかけるが、江は恥ずかしいのか、お市の方の後ろに隠れてしまった。
あらら、このぐらいの歳の子は、見ず知らずの大人は恥ずかしいだろうなぁ。
それを考えたら、茶々の肝の据わりようと言ったら…。
やっぱり"近江浅井家の長女"という誇りがあるんだろうなぁ。
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