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―幼い日の自分の記憶が現実のようにはっきりと浮かんできた。 『あんたがいたからっ!』 『ごめんなさっ....』 全部、僕が悪いんだ。 何も出来ないから。 .....殴られるのも仕方がない。 前に進もうと思っても、いつまでも進めない自分がいる。 ―す....け。りょ...すけ― 誰かが僕の名前呼んでる。 母さんじゃない。 怖いけれど、目を開けてみた。 目の前にはゆうとくんが心配そうにこちらを見ていた。 「良かった....大丈夫?」 背中の感触が柔らかいということに今気が付いた。 「車内で急に倒れて....大丈夫?」 「はい....すいません...」 「いや、謝ることじゃない。それよりこっちが謝るべきかな。....訳もわからず連れてきちゃったから」 あ...僕のせいで彼が悲しい顔をした。 やめて...そんな顔しないで。 「今はまだ寝てた方がいい。挨拶はまた後にしよっか」 僕はまた眠りについた。
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