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夕方
夕日が見れる時間は
本当に少ない時間だと自転車を走らせていると直ぐに分かる
夕日はみるみるうちに地平線の向こう側に消えていった
月は綺麗に見えていて
雲が1つもないせいか綺麗な星空が空にあった
僕はそんな星空に見とれながら
自転車を走らせていた
足が痛いが
そんな辛さを消してくれるくらいに
星空は綺麗だった
まるで望遠鏡で宇宙を見ているかのような光景が
空に浮かんでいた
そんな空を見上げながら
自転車を走らせていると
ドーン ドーン
という音が聞こえた
その音が聞こえた方向に向くと
花火が上がっていた
星空に花を咲かせたように爆発している花火
どうやら近くで祭りをやっているようだ
「どうせなら近くで見たいな」
そう呟いた僕は
祭りで騒がしい声がする方向に自転車を走らせた
汗だくでびしょびしょになったTシャツを着ているのを僕はあんまり気にしていなかった
祭りの近くまで来ると
花火ははっきり見えるようになっていた
いろんな屋台が並んでいて
中心には盆踊りがみこしを囲むように、みんな踊っていた
かき氷や焼きそば 焼き鳥や唐揚げなどの良い匂いが僕の鼻に入ってきた
僕は我慢した
もし ここでお金を使ったら
後々、必要になる時がくる
すると 盆踊りをしていた中年のハッピを着た男性が僕に話しかけてきた
「おい兄ちゃん!!ボーッとしてねぇで
あんたも踊りなよ?」
中年の男性は僕の肩を掴み
引きずるように盆踊りに連れていかれた
僕は慌てて拒否しようとしたが聞いてもらえず
仕方なく盆踊りをした
最初は盆踊りをしているみんなについていけず
たじろいながら踊りに合わせていったが
次第に慣れてきて
赤かった僕の顔も
普通の肌色に戻っていた
すると それを見ていた中年の男性は僕に聞いてきた
「兄ちゃん、あんた遠くから来たのかい?
俺はここら辺の住民に詳しいが兄ちゃんみたいな顔みたことねえ」
僕は踊りに集中しながら
答えた
「滋賀県から自転車で来ました」
すると中年の男性は目を丸くしてこう言った
「へぇ!?こりゃすげえや!!
一緒に踊りを楽しもうな♪」
踊りは楽しかった
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