暑い日の中で

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減っていたお腹は満腹感を感じ 僕は体力を付ける為にたくさん食べた そして一言ごちそうさまと言った 「兄ちゃん食べんの早いなぁ まぁ、みんな食べ終わるまで時間はあるし 少し外に出て気分晴らしでも行ったらどうだ?」 まだみんなご飯を食べていることに僕はその時はじめて気が付いた 僕は、徹雄さんに勧められた通りに靴を履いて外に出てみた 辺りは暗く 電灯が道にポツポツと並んでいて その電灯に虫が集まっていた 周りには田んぼで囲まれて 近くに川が流れていた 涼しい風が吹く夜は 昼間みたいな蝉が鳴くこともなく 静けさが広がっていた 「ちょっと散歩していくかな」 涼しい風が吹いていたため 僕は少し身体を慣らす為に道を歩いた たまに聞こえる虫の声が 心を落ち着かせ 草が風で揺れる光景は なにやら不安を消していった 静かな空間が 焦る気持ちを落ち着かせてくれた 僕は川に向かって歩いた 緑の星が川に広がっていたからだ それは夏の夜にしか見られない光景で 最近、その光景は減ってきている そう ホタルだ ここらへんの川は澄んでいるのか分からないが ホタルの大群がそこにあった 普段では絶対に見られないであろう光景だった 地上に星が広がっている そう表現するしかない程の 美しさがそこに広がっていた 僕は更に川に近づいた ホタルは飛び交い オスはメスを探す そして夏の間だけの命は 儚く散ってしまうのだ 美しくも儚い そんな生き物だからこそ こんな光景を生み出せるのではないのだろうか 僕は空を見上げた 夏の大三角形が見える 今日は雲が1つもないせいか 星空が綺麗だった 一度に2つの美しい光景を見れたことに 僕は感動した 星が2つある 緑の星と 空に浮かんでいる星 どちらも綺麗で どちらも美しい そんなことに僕は感動した 向こうにある川の橋に軽トラックが通るのが見えた おそらく徹雄さんが僕の自転車を取りに行ったのだろう 「そろそろ帰るかな」 僕は足を帰るべき場所を振り向かせ その方向へ歩いていった この光景は ずっと心に残るだろうimage=474974529.jpg
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