暑い日の中で

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いつの間にか眠ってしまった しかし、ぐっすり眠ったせいか 重かった身体は軽くなり 普通に起き上がれた 時計を見てみると時刻は6時37分だった 背伸びをして 窓を開けて外の風景を見た 早朝なので風は涼しく 朝早くから畑仕事をしている人が何人か見えた 僕は窓を閉め 背伸びをし 一階に向かって降りた 包丁でまな板を一定のリズムで叩く音が聞こえる おそらく花予さんが朝ご飯を作っているのだろう その音は家庭的で どこか懐かしい気持ちにさせる そんなことを思いながら 僕はトイレに入った 用をたして トイレから出て 居間に行くと ちょうど花予さんが料理を終えたところだった 「あら?もう起きてきたの? 早いわね」 花予さんは僕が起きていたことに少し驚いていたが ニッコリと笑い テーブルに朝ご飯の定食を置いた 焼鮭に味噌汁 ホウレン草のバター炒めにご飯が並んであった 「自転車で、ここを出る前に食べておきなさい 夫には私が伝えておきます」 花予さんは少し頭を下げた 「ありがとうございます 少しの時間でしたけど 楽しかったです」 僕がそう言うと 花予さんは笑いをこぼしてしまい 口を手で押さえていた そして そのまま笑顔で 残りの人数分を皿に移していて ラップを巻いていた 僕は花予さんが用意してくれた朝ご飯を食べた とても美味しく これこそ故郷の味というべきなのだろうか とにかく 今まで食べたものの中でも一番美味しかった そのまま サクサクと食べてしまい 気付いた時には完食してしまった そして僕は 一言 ごちそうさま と言い 家に置いていたリュックサック背負った 「あら、もう行くのかしら なら、ちょっと待ちなさい」 花予さんが僕を引き止めると リュックサックに入れていたスポーツドリンクと 大きいおにぎりを2つ そして保冷剤を渡してきた 「スポーツドリンクは冷やしておいたわ おにぎりは保冷剤で冷やして お昼にお腹が空いたら食べてね くれぐれも熱中症には気を付けるのよ? いってらっしゃい」 笑顔で花予さんは僕に手を振ってくれた そして僕は玄関のドアを開けたimage=474974569.jpg
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