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勇者を待つこと半時が過ぎた。一向に訪れない勇者を心配する。
レオン「遅いですね…何をしているのでしょうか?案内を付けたのにもかかわらず道に迷っているのでしょうか?」
そう呟いた瞬間、その呟きを聞き付けたのかようにぎぎぎ~と重い音を立てて扉は開いた。
そして、開口一番、勇者のお決まりな台詞が広間に響き渡る。
男勇者「この世を暗黒に陥れる魔王!これでお前も年貢の納め時だ!!この俺、勇者ケビンが倒してくれるわ!!」
男勇者「お前を倒しこの世界に光を取り戻す!!」
人差し指を私に向け自分に酔っているであろう勇者がそこにいた。
レオン「よく来ました男勇者よ…。待ちわびましたよ?」
抑揚の無いいわゆる棒読みな私。
レオン「世界を変えるのは私を倒してからにしてください…ふふっ。この私を倒せることができたらですけどね。さあ掛かって来なさい。」
やはり棒読みな私。
ケビン「ケビンって名乗っただろ?名前すら呼ばないってひどくね?」
イライラを隠さず男勇者は悪態をつきながらいきなり攻撃を仕掛けてきた。
ケビン「カチンってきた!!俺が負けるだと!?くそっ、くらえ!!ギガスラッシュ!」
ズバーンっ
レオン「ふ。他愛もないですね」
私はひらりと勇者攻撃をかわし右手持っていた愛刀を抜き放ち、間合いを詰めた
。キラリと光を反射し私の愛刀はを翻弄する。
ケビン「うわっ」
レオン「ぬるいです。その程度の実力で私を倒そうなどと私も嘗められたものですね。」
ため息が出そうだ。いくら私に世界征服の意志が無いにしても余りにお粗末だろう。
レオン「お遊びはここまでです。つまらない。もう一度出直して来てください。」
チキンと刀を鞘にしまい構え直して勇者がかかってきた瞬間を狙い目に居合い切りを見舞わせる。
雪が舞い相手はその幻想的な光景に目を奪われ、下から凪ぎ払い上段からの袈裟斬り最後は花のように艶やかに止めをさす。
レオン「乱れ雪月花」
レオン「夢うつつに眠りにつくがいいでしょう」
ケビン「ぐはっ」
男勇者は膝を着き力なく倒れる。
レオン「峰打ちです」
???「主よ、…乱れ雪月花で力を加減するのは大変なんじゃぞ!?それにやり過ぎではないか?」
レオン「あー、うん。毎回村雨にムリをさせてすみません。ふふ…でも、ここまで手加減できるなんて村雨だから出来る芸当ですよね。」ニコッ
レオンの持つ刀が急に喋り出し文句を言う。
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