魔王、遭遇

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温かいお茶を飲んで一息する。 先程までの怒りは何処かへ行きかなり冷静さを取り戻し、そのクリーンになった頭でここまでのことを振り返る。 一つ目のトラップ…。 あれは一般人と手練れの力量を区別するものだろう推測する。5つほど罠があったがどれもこれも殺傷能力のないもので、ただだだっ広い空間が存在するだけだ。 次の物はさらに上の者へと振り分けだろう。あとは取り残された者は何処へ?と思うが多分それなりの手練れなら始末されていて、女、子供なら記憶を改ざんされて解放されたが正しいだろう。フェミニストなのでしょうか? ジェイの話では女、子供は無事にこの山を越えているようですし。しかし気になることがひとつ…護衛の付いたキャラバンは確実に被害が出ていると聞いた。魔物以外にもこの山には縄張りを持つものがいると推測される。盗賊団か?人間界に手を出すことは躊躇われるが先にこちらを潰したほうが良さそうたですね。少し厄介なことになりそうです。 レオン「…お茶飲むとホッとしますね」 ジェイ「そうだね。それにしても、レオンがお茶淹れるの上手いのには驚いたよ」 機嫌が良くなったジェイは不思議そうに聞いてきた。 レオン「魔王城には上手いお茶を淹れられるのが先代魔王しか居なかったので自然に上手くはなります。メイドたちは立場上完璧ですが、つい仕事の邪魔をされたくなくて自分でいれてしまうんですよね」 ジェイ「魔王なのに大変なんだね。!まさか先代って最悪魔王?意外すぎるだろ」 レオン「えー。そうなりますね。でも彼の名誉の為に言っておきますが彼は昨日話したと思いますけど世間がいうような人ではなかったですよ?」 カップのお茶を見つめながら先代魔王に思いを馳せる。余り永くは側に居られなかった先代…北の魔王。彼が生きていたら違う未来があったのだろうかと思う。今さらタラレバと言ったところで仕方ないのだが…。 ふと顔を上げると道行く者は物珍しそうにこちらを見ては去っていくのが見える。 まあ、山道の途中、開けたところといってもこの山で暖をとりながら優雅にお茶をしていたら不思議に思われるだろう。 暖の向かいにはこれまた優雅にお茶を啜るジェイがいる。時々、薪をいれながら火の調整を行っている。 街暮らしが長くなっているだろうにもか変わらず慣れた手つきで火の番をしている。 会話の前に出した結論をジェイに話す。
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