魔王、遭遇

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やはり肩慣らしにもならなかった。 勝負は五分とかからず物足りないにも程がある。 野盗たちは思ったよりも弱く脆弱だ。 刀を抜く程ではないし、少し殺気を混ぜ威圧をかけてみるとこれが見事にばったばったと倒れてくれる。もう少し根性があってもいいんじゃないのか?とも思うが如何せんどう足掻こうが烏合の衆だ。 手練れならこんなことはないのだが。 力を抑えに抑えたとはいえ私は腐っても魔王ということなのだろう。 レオン「手間をかけるが倒れてる奴等を縛っておいてくれませんか。」 ジェイ「了解。この辺りの子達は言うこと聞いてくれるかな?」 そう言うとともに動作に入るジェイ。久しぶりに見てもその動きは優雅に見える。 ジェイ「優しき樹木の精霊よ我に彼の者を縛する力を貸したまえ…捕縛(バインド)。ふぅ。思ったより素直な子達でよかった。歪んだ環境にいるから心配したけど杞憂だったわ。」 魔法詠唱が終わる頃、周りの樹木から蔦が延びてきて野盗たちを縛り上げる。 ジェイ「それにしても…。抑えてそのプレッシャーか…恐ろしいね。手先がピリピリするよ。此方に向けられてないのにさ」 私の方を向いてわざとおどけた態度をとり手をぷらぷらと振る。 レオン「そう思うならわざわざ私の隣に立たないで後ろにいればいいでしょうに。」 ぶつくさと言う奴に悪態をつく。もっと安全な所(私の後方)にいればいいものを何を思ったかのか私の隣に立ち傍観している。柔は剛を制すがのごときで私のプレッシャーをのらくらとかわしての文句。昔から凄いとは思っていたが改めて気付いた。今なおその凄さは健在とは…。つくづく計り知れないやつである。 エルフとは皆こんな感じなのだろうか?それともジェイだけなのか。エルフの知り合いはジェイだけなので比べようがない。
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