魔王、遭遇

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レオン「今の私に遅れを取っているようでは簡単に殺られてしまいますよ?」 青年の後ろから村雨を鞘に納めたまま首筋に当てて話す。 声音は変わらず冷ややかなもので口許は怖いくらい笑顔だろう。怒りが増せば増すほど心は冷えきっていく。 今はどうやってこの魔物に制裁を加えてやろうかと思案する。 こんな姿を見たらアルは悲しむだろうなという思いに駆られるが気持ちが押さえられない。どす黒い感情に支配される。魔王となって200年経つが今が一番魔王らしいのではないかと思う。 世間の魔王のレッテル。凶悪で残忍、威圧的で…かつ冷酷な瞳。今まさにその全てを備えているだろう。 そんな雰囲気にも飲まれず立っている青年はやや楽しそうである。やっと自分より強い者に出会えた喜びが滲み出ていた。 レオン「楽しそうですねぇ?」 ???「ああ。心が躍るってこんな感じなんだ。ははっ。あんた!強いんだな!!面白いよ♪人間にしとくの勿体ないな~」 満面の笑みに変わりウキウキ感が伝わる。そんな顔を見てしまうと少し唖然としてしまった。私を人間だと思っていることに驚いた。あれだけの黒オーラが出ていたのにも拘わらず。気配を読むのが苦手なのだろうか?と疑問に思う。余り考えるのは得意では無さそうだな。直情…脳筋なのか?と推測する。
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