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実際のところそんな余裕なんか無いわけで
そう言ってもらえると
断っていい。ってことで罪悪感が薄れる。
「すいませーん、連絡先、教えてもらえませんっか?」
作られたような声が聞こえて振り向く。
「…。バイト中だから来るなって…」
「見てたよー、今の。」
本屋には絶対合わないような、容姿。
巻かれた茶色の髪。
踵の高いサンダル。
ブランドのバッグ。
つけまつげに塗られたグロス。
露出の多いキャミソールにショートパンツ。
「モテモテだねぇ、」
「そんなこと無いですよ。」
他人行儀に話すと顔を膨らませる。
「可愛くないですから。用無いなら帰ってくださいよ。」
「相変わらず冷たいのね…。」
この女の人。
山崎 遥を横目に本の整理をする。
「待ち合わせが近くなの。時間があったから暇つぶしにって、思って。」
「暇つぶしに俺をからかいに来たんですか?」
「何でそうなるかなー。」
遥が俺を睨む。
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