1人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
バスを待つ間の数分が長く感じる。
それほどまでに
俺と優華は無言だった。
学校ではこんなに無言になることなんて無い、はず。
静寂を裂くように自動車が走り去っていく。
先ほどまで雨が降っていたのか、道路が濡れていた。
「どこで?」
「え?」
「どこでバイトしてるの…?」
「え、あー、どこだと思う?」
隣に並びながら、顔も見ずに会話が続く。
優華の視線が静かにこちらに向いた。
「上手いよね。そうやって交わすの。」
「…。」
鋭い言葉が
「なんか、一線引かれてるみたいに感じる。」
心の奥に刺さる。
「そんなこと、ねーよ、」
「そうかな、」
言葉に続きがありそうだった。
バスが遠くから見えて、やがて目の前に停まった。
車内のイスは満席状態で
唯一空いていた1人席を優華に譲って、その隣へ吊革に捕まって立った。
最初のコメントを投稿しよう!