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「今日は奈々美さんといたんだ?」
隣を歩く拓哉を見る。
拓哉は俺の視線なんか気づいてないみたいに真っ直ぐを見据えたまま言葉を続けた。
「さっきすれ違った。」
「…。」
「俺には気づいてないみたいだったけど。」
「…そ、っか、」
ポツリ、ポツリと
罪悪感が湧いた。
今更、罪悪感が湧くくらいなら
最初からしなければいい。
他の男の女なんかと寝なければいい。
だけど、
止められない。
中毒性か、なんなのか。
こんなことをやり始めた当初は
尋常じゃないくらいの罪悪感が感情を締め付けたのに
回数を重ねる度
傷を深くする度
罪悪感が薄れ
それをする事への抵抗がなくなっていった。
その事が
時折、俺を恐怖にさせる。
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