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「お疲れ様でしたー」
バイトを終えて挨拶をして出る。
「あー、疲れた。」
今日は客がいつもより多かった。
まだ照明が光るカラオケを後にして、バス停に向かう。
暗がりを歩いてバス停に辿り着く。
俺以外に立っているのは、サラリーマン風の男が1人。
車道はいくつかの車が通り過ぎていく。
その中の一台がバス停の近くに停まった。
俺も、そのサラリーマン風の男もその車に視線を向ける。
車に詳しくはないが
高級車らしいのがなんとなく感じられた。
サラリーマン風の男はたいして気にする風でもなく、腕時計を確認すると、手に持っていたスマホをいじりはじめた。
俺も同じように車から視線を外そうとしたが、
そこから降りてくる人に視線を戻した。
暗がりではっきりとは分からないが
確かに優華で、
二言、三言を話して愛想よく手を振って別れていた。
車がバス停の前を通り過ぎる。
見られてる訳ないのに、心臓が捕まれてるみたいだった。
勿論、一瞬に近かったし、
こっちからは、運転席に座る人影しか分からなかった。
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