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「よう、」
「ん。」
微かに頷いて、優華が俺の隣に立った。
服もバッグも何もかも、お嬢様みたいな。
「…、」
会いたいって思ってたのが
叶って――
叶ったのに、
言葉が出なくて。
何も言えない。
やっぱり、カラオケに来たのは優華で
あの団体に混ざっていたのは優華以外の誰でもなくて
許婚とか、
夜にこうして優華と会ってることとか
全部信じられなくて
信じたくなくて
ゲームのステージとか思ってみても
許容範囲越えで
ただ平凡に過ごしたいって思ってただけなのに。
無駄な好奇心が
邪魔する。
安易な好奇心なんかで
人の家系事情とか尋ねていいと思ってるわけじゃない。
でも、
隣に立つ優華が
俺の知らない優華だから
知りたくなる。
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