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「みんなには、」
「?」
「みんなには、言わないで。」
凜。と真っ直ぐを向いたまま
優華はそう言った。
強そうに見えるその姿は、虚勢でしかないことはわかっていて、
「あぁ。」
それでも、その虚勢に気づかないふりをして
俺はただ、頷いた。
「あの会計した人が許婚…?」
「…え、」
優華がこちらを見た。
つられるように俺も顔を向けると
目を見開いて、驚いていた。
ゆっくりとまばたきを繰り返した瞳は、俺から視線を外し
やがて
「うん…。」
と、頷いて見せた。
「そっか…。」
「うん…。」
俺の呟きに優華がまた頷く。
先ほど、会計を済ませた男は、身長がそれなりに高くて肩幅もあって
優しそうな顔立ちで、でも弱々しくはなくて
なんていうか、
「大人の男みたいだよな…」
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