stage 6

11/19
前へ
/120ページ
次へ
「みんなには、」 「?」 「みんなには、言わないで。」 凜。と真っ直ぐを向いたまま 優華はそう言った。 強そうに見えるその姿は、虚勢でしかないことはわかっていて、 「あぁ。」 それでも、その虚勢に気づかないふりをして 俺はただ、頷いた。 「あの会計した人が許婚…?」 「…え、」 優華がこちらを見た。 つられるように俺も顔を向けると 目を見開いて、驚いていた。 ゆっくりとまばたきを繰り返した瞳は、俺から視線を外し やがて 「うん…。」 と、頷いて見せた。 「そっか…。」 「うん…。」 俺の呟きに優華がまた頷く。 先ほど、会計を済ませた男は、身長がそれなりに高くて肩幅もあって 優しそうな顔立ちで、でも弱々しくはなくて なんていうか、 「大人の男みたいだよな…」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加