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「え―――、」
「透真のことを一番知ってるのは誰なの?
一番知ってる人が怒ってあげなくて誰が怒るの?」
「…天野、」
「大丈夫よ。きっと、分かってるはずだよ。」
天野が上目遣いに俺を見上げる。
「――俺、思うんだけど、天野って強いよな。」
「え?」
「静かにみえて、意外と強い。」
俺は天野を見下ろして、笑った。
物静かに見える外見と同じくらいの静かな天野。
でも、強く堅い意志を持っている。
俺は空を見上げて息を吐く。
「元気出たわ。」
「それは何よりで。」
可愛くない言い方も、
それでも優しい心も。
「てか、天野なんで鍵のこと知ってんの?」
「よく屋上にいくの見たことあるから。」
しれっとした答え方も
憎たらしくて、
それでも
可愛く感じた―――
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