chapter1

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目の前の目標を撃つ 俺の意志を写すように鋼鉄の機体(からだ)が唸りをあげる。 ネクストとの戦力差は歴然だ。 此方の銃口が睨めばMTの装甲などブリキと変わらない。 為すすべもなくその場に崩れ落ちるだけ… あまりに一方的で、理不尽。 俺ならどうする? もし俺が理不尽を目の前にしたら… 圧倒的な暴力(ちから)を前にして何ができる? 「何もできずに、死ぬのかな…」 「いきなりどうした?トラブルか?」 「いや、なんでもない。ただの独り言だか…ら…」 なんだこれ 変な感じがする 何か近づいてる? 「熱源接近!敵の増援だ。」 増援? 「ノーマルごとき連れてきたところでどうなるものでもないだろうにな。」 ノーマル? 「大した相手ではないな。撃破しろ。」 …増援が来たのか!? マズい! 意識が飛んでた! 死にたいのかよっ!俺は! 「数はっ!?」 「4機だ。12時の方向に2機、10時の方向に2機だ。」 跳ねる心臓をなだめる。AMSはリンクスの精神状態がダイレクトに影響する。プライマルアーマーがなければノーマルの弾丸だってバカにならない。 「AMSの反応が不安定になってるぞ!集中しろ!」 セレンには筒抜けみたいだな。精神状態をモニタリングされてるのにも随分と抵抗がなくなったもんだな。 よし。だいぶ落ち着いた。 やれる。 要領はMTと変わらない。かつて世界を壊した兵器(ちから)とは思えないぐらい脆い。より強い暴力(ちから)の前に力なくひざまずく様は、あまりにも虚しい。 そして、俺も同じなんだろうな… 「ミッション終了だ。あまりに調子づくなよ。敵が弱すぎたんだからな。」 「りょーかい」
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