それ、名前じゃ無いの

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阿木ちゃんおはよう。 今日の下着は何色かな? 私は朝から職員会議です。 なんと呼ぶのがふさわしいか。 ド変態、などという言葉で片付けてしまってはむしろ、彼に失礼である。 時間は午後3時、今日の講義は全て終了している。 返さずとも毎日送られてくるこのメール、否、変態からの迷惑文書。この迷惑文書のみが、私に時間の流れを実感させてくれる。 大学3年目の夏、きらきらと輝くキャンパスライフなどというものは幻想であった。 朝昼晩、文頭は定型文のあいさつ。 聞いてもいない彼の日常に、するりと紛れ込んだ変態の一文。 まさか、職員会議と下着が同じ文章に紛れ込むだなんて、互いに予想外の出来事であっただろう。 かれこれ半月繰り返される彼からのメールである。 彼、と呼んではいるもの の、もちろん健全な交際相手などというものではない。
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