第三章 【虐殺網】

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「ねえ…ヤトはどうして軍に入ったの?」 しばらく歩いていると急にサラが尋ねてきた。 「おれ?おれは特に目的なんてなくただ義務だからって感じだな…。 悪く言えば軽い気持ちで入ったな。」 「そう…女は義務じゃないから私も別にどうでもいいって思ってた。 でもね、4年前に私の町は帝国に襲われたの…。」 「急にどうしたんだ?」 「ごめん…でも聞いて。 そして私のお父さんは私とお母さんの目の前で切り殺されたの…。 私はそこからの記憶はほぼない…気が付いたらお母さんの体で覆い被されていて何も見えなかった。 お母さんは呼んでもなにも答えてくれない…その時すでに死んでいたのよ。 私は死体に隠れて誰にも殺されなかったんだと思う。 最後にお母さんが必死に守ってくれたのよ…。 その日からは毎日毎日毎日毎日!その時の夢を見る…憎しみはずっと消えない。 帝国を潰す為ならどんな訓練もつらくなかった…死ぬのも怖くない。」 そうか…サラはこんなに重いものを背負っていたのか… 「でもね、どんなに憎しみが強くても怖いものがあった…ドラゴンでもない、己の死でもない、それは仲間の死だった…。」 俺は今日サラが強く逃げることを恐れていた理由が分かった。 「どんな事があっても必ず帝国を潰す!その決意の下にここに来たのに戦いが怖くなってしまった! これじゃダメなのよ!私は…私は帝国だけは…。」
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