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「ねえ…ヤトはどうして軍に入ったの?」
しばらく歩いていると急にサラが尋ねてきた。
「おれ?おれは特に目的なんてなくただ義務だからって感じだな…。
悪く言えば軽い気持ちで入ったな。」
「そう…女は義務じゃないから私も別にどうでもいいって思ってた。
でもね、4年前に私の町は帝国に襲われたの…。」
「急にどうしたんだ?」
「ごめん…でも聞いて。
そして私のお父さんは私とお母さんの目の前で切り殺されたの…。
私はそこからの記憶はほぼない…気が付いたらお母さんの体で覆い被されていて何も見えなかった。
お母さんは呼んでもなにも答えてくれない…その時すでに死んでいたのよ。
私は死体に隠れて誰にも殺されなかったんだと思う。
最後にお母さんが必死に守ってくれたのよ…。
その日からは毎日毎日毎日毎日!その時の夢を見る…憎しみはずっと消えない。
帝国を潰す為ならどんな訓練もつらくなかった…死ぬのも怖くない。」
そうか…サラはこんなに重いものを背負っていたのか…
「でもね、どんなに憎しみが強くても怖いものがあった…ドラゴンでもない、己の死でもない、それは仲間の死だった…。」
俺は今日サラが強く逃げることを恐れていた理由が分かった。
「どんな事があっても必ず帝国を潰す!その決意の下にここに来たのに戦いが怖くなってしまった!
これじゃダメなのよ!私は…私は帝国だけは…。」
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