いちっ

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これ以上、ここに居るのが辛くて教室を飛び出す。 後ろで葉の声もするけど無視して走る。 無我夢中で走った結果、教室の前だった。 「………」 私は無言で教室に入り自分の席に置いてある鞄を持つ。 葉月を見てると懐かしさを感じる。 ……私には記憶がない ただ一つ分かってるのは中3から前の記憶が消えてるという事だけ 葉月を見て懐かしいって事は…きっと私、葉月を知ってるんだ。 「……もう帰ろ」 気付けばもうお昼、お母さんも待ちくたびれてるかも ☆☆ 学校を出るとまだ何人かの生徒と保護者がポツポツ目立つ。 「織羽!」 名前を呼ぶお母さんの声が聞こえる。 見ると手を振っていた。 「お母さん。遅くなってゴメンね」 私のお母さん、渡辺 麻里奈(ワタナベ マリナ)はとても30代には見えない容姿をしている。 あんまり怒らない、優しいお母さん……だと思う。
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