いちっ

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離れようとしないお母さんを引き離してリビングへ。 「聞いて、二人とも♪」 いつにも増して笑顔なお母さんに私とお兄ちゃんは警戒する。 お母さんがすごーーく笑顔な時は何かを企んでる事。 つまり、現在。 「…どうしたんだよ母さん」 「ふふっ。織羽の入学祝いに今日は外で食べるわよ~」 大喜びのお母さんについていけない私とお兄ちゃん。 嫌……じゃない。 「でっ、でもさお父さんはどうするの?」 私の言葉に「大丈夫、すぐ帰って来るから」と笑顔で言われた。 「良かったな織羽、今日はお前のお祝いだぞ」 お兄ちゃんも嬉しそう 部屋の雰囲気が暖かくなった頃、玄関から「ただいまー」と何も知らないお父さんの声。 「あ、お父さんー…「お帰りなさいアナター」 私が言い終わる前にお母さんは笑顔で玄関へ向かう。 リビングに残された私とお兄ちゃんは顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。 玄関がやけに静かだと思って見に行こうとすると一足先にリビングのドアが開いた。 「織羽ーー…」 出て来たお父さんに突然、抱きつかれた。 渡辺 和広(ワタナベ カズヒロ)見て分かる通り、私を溺愛?している普通の会社員。
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