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手紙には場所と日時が記載され、その手紙はありとあらゆる全ての化物の元へと届けられた。 男は化物達となんらかの接点、関係があり、男を知らない者は誰一人もいなかった。 その男はいろんな呼び名があった。 ある物には神と呼ばれ。ある物には恐竜と呼ばれ。ある物には名探偵と呼ばれ。ある物には父と呼ばれ。ある物には博士と呼ばれ。ある物には山と呼ばれ。ある物には紙コップと呼ばれ。ある物にはタクシーと呼ばれ。ある物には蟻と呼ばれた。 男が白といえば白となり、黒といえば黒となる。 強大な脅威となる力を持ち、化物達にとって絶対的な存在であった。 そんな男が初めて手紙を出した。何年何百年何万年何千年生きているが、化物達にとってこんなことは初めてだった。 メッセージを受け取った化物たちは様々な反応を示した。 ある物は手紙を愛でるように優しく抱きしめ。ある物は豪邸のリビングにある額縁に飾り。ある物には本の栞変わりに。ある物は破いた後、踏みつけた後燃やした。ある物は山の頂上からから紙飛行機にして飛ばした。ある物は凍える寒さを凌ぐため暖を取るべく着火材としたり。ある物は、連続強盗殺害事件の重要なダイイングメッセージだと勘ぐったり、ある物は食べ物と勘違いして口にいれた。 そんな様々な受け取り方をした化け物だが、手紙の内容を理解した化物全てが、約束を守ろうとしていた。 そして、手紙に書かれた約束の日を迎える。
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