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ある春の夜、
一人の少年が立ち尽くしていた。
その少年は空を見上げ
呑気に月を見ていた。
「きれーい…」
夜空に輝く月を見上げ
そんな言葉をもらした。
だけど少年は
普通じゃなかった。
何故ならば少年の足元には
血に狂った化け物たちが
倒れていたのだから。
「なんで死に急ぐのかなぁ。
短い人生なのにさ」
グサッ
もう息の根は止まっているはずの
化け物の心の臓を刀でさす。
見下す彼女の目は
暖かくなり始めた春には
……冷たすぎた。
弱者は嫌い。
もっと、もっと
自分を殺せるような強いヒトを
求め少年は歩き出した。
死人なんかに目もくれずに。
意気揚々に鼻唄まじりに
「だーれーか、
僕を殺しておくんなしー♪
僕が殺してあげるっからぁ♪
…ふふふ。」
血に濡れた顔を満面の笑みに変え
強いひとを探した。
この夜
少年の人生がやっと巡るのだった
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