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今まで、『握手会』も『サイン会』も、
「……断る」
の一言で一刀両断し、受け入れなかった。
だが、縁側で自ら持参した座布団に座り、庭を眺めながら茶を啜る彼には、それが通用しないらしい。
「先生、握手会楽しみですね」
「断る、と再三言った筈だ」
「お茶、冷めますよ」
此方を見もしないで、俺の一太刀をサラッとかわすのだ。
編集長め……判っていて彼を寄越したな?
もしや、彼を『好ましい』と思ったのも、『残念』だと思ったのも……
―― 思い違い、
だったのだろうか。
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