境界乖離

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「大丈夫か?姉貴」 「う、うん……なんとか……」 着替え疲れでへんにゃりなっている私に、零がガリ○リくん(ソーダ)をかじりながらそう聞いてきた。 私が倒れるソファー横には今日着せられた服がうず高く積まれていた。その高さは私の身長と変わらないくらいもある。 「今日はもう帰るのか?」 「うん、ギルとディナーの約束があるんだ♪」 「心底嬉しそうで何より」 「まぁね。女になったからには、楽しまないと」 ソファーからぴょんと立ち上がり、帰る旨を母さん達に伝えると、まだ着せたい服あるのに、と残念がられた。 さすがに、これ以上は遅れる上に精神力が全損させられかねないので逃げることに。 「じゃ、またね」 「もう、あと少し付き合ってくれてもいいじゃない。それに、夕食も一緒に食べたいのに……」 「ごめんね、母さん。でも、ギルが待ってるから」 「家族より恋人を取るのね……」 「その、私と仕事どっちが大切なの!?って聞く彼女みたいなの止めて」 「またな、姉貴」 「バイバイ、涼」 「なんかやけにさっぱりしてるのも……」 「いいじゃねぇかよ。死別するわけじゃないんだからさ」 「まぁね」 最後に父さんに向き直り、一礼する。 「行ってきます。父さん」 「あぁ、婿殿によろしくな」 「う、うん」 婿……婿かぁ~いい響きだなぁ~ っと、いけない。行かなきゃ。 「じゃあ、行ってきます!」 その声と同時に、私はゲートを開いて飛び込んだ。
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