境界乖離

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「やっぱり、デザイン変えるべきかな?これ」 絵の具を全色ぶちまけたようなカオスな色合いのゲートを進みながら、ポツリと呟く。 そもそも、何故私が転移ではなくゲートを使うかと言うと、転移は同じ世界の中なら影響はないが、異世界同士では急激な負荷を空間に与えてしまうからだ。 空間は意外に脆く、剥がれたり解れたりして神隠しを起こしたり、天然のゲートを作ったりすることもある。 そこに急激な負荷を加えたらどうなるか。正直私でも分からない。 トンネルで例えるなら、ゲートはゆっくり掘り進めるのに対し、転移はダイナマイトで発破をかけるようなもの。 穴を貫通させても、山自体が崩れる危険を常に抱えているのだ。 まぁ、そんなわけで緊急時以外は世界間移動はゲートを使っている。 とはいえ、ゲートもいいことばかりではない。 先ず、時間がかかる。そして、向こうから入ってくる可能性がある。更に、転移と比べて長い時間いるので、干渉を受ける場合がある。 そう、例えば今私の足元にワームホールが口を開けているみたいに。 「……えっ?」 その言葉を残して、私は一直線に穴へと吸い込まれていった。
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