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「うわっ!?空ぁっ!?」
ワームホールから飛び出した私の目に映ったのは、美しい夏の青空、そして田園風景。
猫型のバスに乗り、トウモロコシを届ける映画を思い出させる旧き良き日本の田舎だ。
「風よ!」
気流を操作し、落下速度を軽減。緩やかに落下しながら辺りを調べる。
「敵性反応なし、危険物もないみたいね」
ついでに人影もないけど。
舗装もされていない農道に着地し、ふぅと息をつく。
さすがに何度かこんな次元移動事故に巻き込まれているので、驚くことはない。
寧ろ、どうやったら帰れるか冷静に考えている自分がいるくらいだ。
「やっぱりゲートや転移は無理か……」
例によって何かに阻まれて移動系魔法を発動できない。しかも、天を包むように存在する強力な力を感じる。原因は多分それだろう。
「と、いうわけで先ずは村人(?)を探そう!」
そう完結して、私は農道をのんびり歩き出す。
日射しが強いので日傘をボックスから取り出して広げ、遠くに見える丘にある朱色の鳥居を目指してみる。
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